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Silk guide book (シルクの手引書)絹は、昆虫の1種である絹糸虫(カイコガ)の繭(まゆ)を ほぐして作られた天然繊維である。絹は、原料となるカイコの種類によって家蚕糸(かさんし)と野蚕糸(やさんし)に大別される。また、一本の長繊維として繰り取るか、短繊維として紡績するなどの製造方法によって、生糸、絹紡糸等の区別がある。 これらは、どれを使用しても、表示上いずれも「絹」「シルク」となるが、その特性にも価格にも大きな違いがあるので、注意する必要がある。 蚕の種類糸を吐く虫は多いが、絹糸として利用される絹糸虫は、糸の量が多く、糸が繰り取りやすい鱗翅目に属する昆虫である。主な絹糸虫は、家蚕と野蚕に大別される。カイコは カイコガ科の昆虫で、屋内で飼育されるところから「家蚕」と呼ばれ、数千年の昔から飼い馴らされてきた。現在、生糸を生産するため世界では五十か国程度で養蚕(カイコを飼育して繭を生産する)が行われている。 家蚕は卵・幼虫・蛹・成虫を一世代(一生は約40〜50日)として繰り返す。桑を食べるのは幼虫の期間だけである。この一世代を1年間に1回、2回、あるいは数回と繰り返す回数が系統により異なり、それぞれ1化性、2化性、多化性と区別して、新しい品種の育成や種々の研究に用いられている。 家蚕以外の絹糸虫は野生のカイコで、種類によって食べる餌(木の葉)はそれぞれ異なっている。飼育する場合には、樹上にネットを張って天敵から守ったり、卵を採取したり、飼育時期をコントロールするなど多少の保護をするが、野外に放し飼いにし、自然のままに繭をつくらせ、それを集めて、糸の原料とする。このように野外で飼育することから「野蚕」と総称する。野蚕は、糸のほぐれ具合が悪く、吐糸能力も低いことから、飼育される種類は少ない。 絹糸の種類<生糸>繭から繰り取られた長繊維糸(フィラメント)である。絹織物の大部分は、この生糸を原料とする。 <玉糸> 蚕は、通常1頭で1個の繭をつくるが、中には2頭以上で1個のおおきな繭をつくることもある。これを「玉繭」あるいは「同功繭」というが、2頭分の繭糸がもつれているため、通常の繭のようにスムーズに糸が引けず、繰り取られた糸は節の多い、太めの長繊維となり、これが特徴で、玉糸と呼ばれ、節絹(ふしぎぬ)ともいう。 <真綿> 玉繭、穴あき、出殻繭など繰糸に適さない繭を 薬品や木灰で煮立てて綿状に引き延ばしたもので、防寒用衣料や布団綿に用いられるほか 紬糸の原料になる。 <絹紡糸> 繭毛羽、屑繭、よごれ繭、蛾が出た後の出殻繭、切り繭、蛹はだ、揚り繭など、繰り取って生糸にすることができない絹糸類を原料にして、綿状の短繊維としたもの。 <紬糸> 真綿を原料として手でつむいだのが紬糸で、その強さには定評がある。 絹の素材特性絹を着た人は、異口同音に「軽くて」「暖かい」という。保温性のよい織物は、熱伝導の小さい繊維でつくられることが必要であるが、繊維より空気の熱伝導度の方がはるかに小さいので、繊維のなかに細かな空気の室が沢山あるような織物が暖かさを感じる。しかも、外から力が加わっても ぺしゃんこに変形することなく、いつまでも厚さを保つ(圧縮弾性が大きい)ことが必要である。絹織物は、天然の絹繊維の集合であり、単調な化学繊維の織物では できない気室が沢山あり、含気量が大きいので熱を伝えにくい。これに絹織物の柔らかさが体へのなじみやすさもあって、軽やかで、薄くても暖かな製品をつくり出している。 人体からは1日1.5から2リットルの水分が発散されている。衣服には、この水分を吸収して外気に放出する機能、すなわち透湿性(通気性)が、着用時の快適さと保健衛生上必要であり、通気性のよい布の構造と吸湿性のよい繊維が望ましく、織物でも、吸湿性と透湿性を高めることが必要である。 天然繊維の中でも、絹は1.3〜1.5倍の吸水性があり、放湿性も綿に遜色ない特徴を持っている。 絹織物の模様織物の模様は、織り模様と染め模様に分けられる。織り模様は織物組織や色糸の組み合わせによって作られる模様のことで、縞、紋織(りんず、ブロケード、錦など)、絣などがある。絣(かすり)は、織糸を部分的に染めて絣糸を作り、これを組み合わせて模様を織り出した織物である。絣糸の染法によって、括り絣(結城つむぎ)、板締め絣(村山大島)、織締め絣(大島つむぎ)などが有名である。絹織物の取扱上の注意点絹は美しさ、着心地等の面で優れた繊維であるか、その反面、耐摩擦性や黄変等問題のある点もあることから、その取扱いには十分注意する必要がある。主な注意点を列記すると以下のとおりである。
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| 社団法人 日本絹業協会・ジャパンシルクセンター発行パンフレット「シルクの手引書」からの抜粋。 |